次回作にご期待ください

日常や感想など

とあるボーイミーツボーイについて

毎週毎週BANANAFISHのことを考えてきたけど、最終回を見てこれは愛の物語なんだ、と思った。彼らを取り巻く状況は複雑だけど、一人の少年の魂が愛によって救われるっていうシンプルな話なんじゃないか。

 

突然だけど私は“愛”というものに対してすごく懐疑的な感情を抱いている。

まだ私が未熟だからかもしれないけど全然愛のことがわからない。

親が言うことを聞かない子どもを叱るときにオバケが来るよって脅すような、そんなようなものだと思っていた。

小学生のときハリーポッターを読んでダンブルドア先生がしきりに愛という単語を繰り返すのをうさんくさいなと感じた覚えがある。

愛が現実世界に実態をもって確かに存在するものだと感じることができなかったけど、アッシュと英二の関係はこの言葉でしか表せないと思った。

 

私はお互いのためなら引き金を引けるような関係性の名前を知らない。

恋愛も友情も二人の間柄を示すのには不十分な気がする。

アッシュは英二に強い信仰に近い感情を抱いて依存していく。

 

アッシュは英二のために軽々と引き金を引き自らの命を差し出そうとする。

日本で平和に暮らし棒高跳びを頑張っていた英二はアッシュのために銃をとり人に向けて発砲する。

銃を撃つというのは大変なことだ。なぜなら簡単に人を殺せてしまうから。特に日本で生まれ育って銃に馴染みのない英二が人に向けて撃つのには相当なハードルがあったと思う。

 

でも英二はそんなハードルも飛び越えてアッシュを守ろうとする、それは物理的にも精神的にも、だ。

遠い異国の土地で出会った何もかも違う二人の少年は、愛し合うことでお互いを救った。

 

そういう意味で私はとても救いのある結末だったと感じた。

暗く壮絶な過去を歩んできたアッシュが人生の中でわずかでも幸せだと思える時間があったことは間違いなく救いで、この世界でできる最大限のハッピーエンドだったと思う。

図書館で眠るように息絶えたアッシュの安らかな表情で確信した。

今まで彼を苦しめてきた過去のすべてが火の中に消えていって、そうして最後にはイノセントな存在になれたんじゃないかと思う。

 

 

シンについて

シンはすごく目がいいと思う。物事を俯瞰で見られる目を持っていて、それは間違いなくボスの素質だ。まだ若くて体つきも少年そのものなのに(身長気にしてるのかわいい)登場人物たちのなかでもすごく冷静でよく気の付く子だなと思う。

でもショーターがいなくなってしまったことで突然ボスになり、自分の能力や立場に気持ちが追い付いていなかったりするところは年相応で、そのアンバランスさも魅力的に見える。

なんかシンってめちゃくちゃ健康だなと思う。身体も心も健全だ。

年相応に悩んで葛藤して時には失敗もして、アッシュは天才だけどそれとはまた別の良さがある気がする。地に足ついた、といえばいいのかなんかそういう感じの。

今後は家族だったりチャイニーズとして血縁の業を背負っていくのだろうなと思う。

できるだけ健やかに暮らしてほしいけどなかなか難しそう。

 

 

ユエルンは救われるか

彼は救いを得られなかったもう一人のアッシュだ。

物語が進むにつれアッシュと英二の敵でしかなかった彼が悪事に手を染めるようになってしまった理由が明かされていく。

人生において常に被支配者だった彼が愛を求めて苦しむ姿は癇癪をおこした子供の姿そのものだ。

だからこそユエルンに救いの兆しが見えてよかったと思った。

シンは健康だからこそ誰かに依存したりされたりしなさそうなので、ユエルンとシンはアッシュと英二のような関係にはなれないような気がする。

それでも二人は二人のやり方で支えあっていくんだろうな。

 

 

 

雪山を登り続けた孤独なヒョウは、唯一のものを探していたのかもしれない。

輝くもの、永遠のもの、かけがえのないもの。

そして美しいヤマネコは最後にそれを見つけた。

愛し愛されることで人は救いを手に入れることができるんじゃないかと思う。

英二は運命からアッシュを守りたいといったけど、私は二人がNYで出会うことも運命だったような気がしている。

隣で寄り添って抱きしめあうことはもうできないけど、彼らの魂は永遠に共にある。

それはあまりにもかなしくて美しい結末だ。

毎週涙してばかりで本当につらくて、でも今この物語に出会えてよかったと心から思う。

 

 

 

 

ーAslan Callenreese が安らかなることを願って。